「成長の階段は必ずしも右肩上がりとは限らない」

昨夜は、本校のバレエコース(昭和63年)の設立に多大なるご尽力をいただいた「故谷桃子先生(昨年4月16日ご逝去:94歳)」の追悼公演(於:目黒パーシモンホール)に行ってきました。日本のバレエ界に於ける谷桃子先生の功績を讃えるお話から始まり、谷桃子バレエ団の方々によるバレエ公演と続き、最後は、踊らせたら右に出るものはいないとまで評された「ジゼル第2幕(谷桃子版)」をオーケストラによる演奏とバレエで会を締めくくられました。日本を代表する偉大なる功績を残された故谷桃子先生のご意志は、本校バレエコースのバレエと学業を両立する生徒の育成に引き継がれています。

さて、舞台に立って人を感動させる、小さな子どもたちを教えるという夢をもつ皆さんは、日々の練習や勉強に努力していることと思います。今の時期は、総合学習上演発表「サウンド・オブ・ミュージック」の公演も近づいてきているので、多くの生徒が朝練習で各個人やグループの技量を磨きに来ています。14年目を迎える日音のミュージカル「サウンド・オブ・ミュージック」を生徒全員の力で、さらに進化したひと味違うものにしてほしいと思います。期待しています。

今日の話題は、「成長の階段は必ずしも右肩上がりとは限らない」です。皆さんは、表現や技能を高めていくためには、同じ練習の繰り返しが重要なことは知っていると思います。レッスンで習ったことを何度も繰り返して復習して自分のものにすることはとても大切なことです。しかし、自分の頭の中では、容易に「成長の階段は右肩上がりに上達していく自分」を想像しますが、練習を続けていてふと振り返るとなかなか成長しない自分がそこにいて、同じところをぐるぐると回っている感覚に陥ることもあります。また、「本当にこれでいいのか」と不安になることもあります。
実は、前に進んでいないと思うのは誤解です。成長の階段は、必ずしも「右肩上がり」とは限りません。「らせん状の階段」もあるのです。たしかに自分の位置から見ると、ぐるぐると同じところを回っているだけのように見えますが、客観的に見ると違います。左右の位置は変わっていませんが、上下の位置が変わっています。うずまきの形をした階段を、真上に向かって上っているのです。繰り返される練習には、意味があります。同じことを繰り返すことで、頭ではなく体に染み込んでいます。きちんとした前進です。繰り返されることは、らせん状の階段を上っているイメージが大切なのです。時間が経って、自分を振り返ってみると一段階成長した自分がそこにいて、本番のステージでは多くの人たちからの拍手でそのことを感じ取ることができると思います。
この成功体験が、皆さんを夢の実現に向けて大きく成長させてくれるのです。現在もアメリカ大リーグで様々な記録を打ち立てているイチローは「夢や目標を達成するには1つしか方法がない。小さなことを積み重ねること」という言葉を言っています。焦らず、確実に、「らせん状の階段」を一歩一歩前に向かって日々の練習に努力しましょう。そして、悩んだり、方向を見失いそうになったら先生や友だちに相談してみましょう。解決のためのヒントが見つかるかもしれません。

本校では、「知性と芸術の融合」を目指しています。座学の授業では、その時間内で確実に習得できるように真剣に受けること、実技の授業では、レッスンで指導していただいたことを自分のものとできるように日々の練習に精進してください。

以上で私のお話を終わります。